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アメリカでの大学生活とその経験から言いたいこと

今回はアメリカの大学で、どんな学生生活を送ったかをご紹介してみる。
呼吸療法学科は、健康科学学部に属していて、4年のうち2~3年間で専門課程の科目を学ぶことになる。朝一番の授業の開始は7時半からだ。曜日によって、科目数も異なっていて、月曜日は演習授業120~180分、火曜日と木曜日は病院実習、水曜日と金曜日は7時半から14時くらいまで延々と授業が続く。

第二言語の私にとって、この授業についていくのはかなりの努力を要した。授業で7時間程度勉強し、自宅に帰ってからも6~8時間は勉強。半日は何かしらの教科書を開き、予習、宿題、復習を行うことになる。図書館もよく利用していた。傍からみれば、ただの勉強虫である。そんなに勉強して、効率はどうなの?と思った読者もいるだろうが、効率云々の問題ではないのだ。そうしなければ授業についていくことはできなかった。この勉強時間こそ、私がこの学科をドロップアウトせずに卒業できた理由の一つだろう。私は凡人である、天才にはわからない努力をせねばならないのだ。26人で始まった新学期から、5人がなんらかの理由でドロップアウトしていった。ただ授業に参加していれば、卒業できるという学科ではないのは間違いない。

アメリカの大学のいいところは、このような専門的な学科の場合でも入学時期は一律に決まっているが、卒業時期を春(5月)、夏(8月)、冬(12月)の3つの時季から選択できたりすることだ。しかも、4年生で受ける授業を夏休みを使って受けることができるため、4年間を大学で過ごさなくてもよいのだ。私も夏休みを利用して、2年次と3年次に、本来4年次に受ける4つの科目を受けた。家庭や仕事、経済面など、さまざまな生活背景をふまえて、卒業時期を選べるのは、日本で勉強してきた私目線ではとても画期的である。ある意味、勉強すればするほど、早めに卒業時期を迎えることもできるわけだ。ちなみに、高校生のときに、すでに大学の科目を履修することもでき、大学入学と同時にその履修分を単位として認めてもらえるのだ。

さて、実習のことも書いておきたい。実習の開始は朝7時である。朝7時前に、呼吸療法士ラウンジか実習病棟に行くことになる。日本の看護実習とは違い、はじめての部署であっても、自分からその場に行って自己紹介などを行い、実習に入るのだ。学生であっても、ICUでは他職種カンファレンスには、ほぼかならず参加し、受け持ち患者の状態はどうか発表をもとめられれば、みんなの前で発表もするし、意見も言わなくてはならない。治療方針の確認も医師に直接行うこともあり、学生であっても医療従事者として対等にコミュニケーションを図ってくれる。自分がどうしてそれを行いたいのかを説明し、相手に納得してもらうことが必要になる。

実習中に看護学科の実習生とも一緒になったことが何度もあるが、日本の看護学生の実習にくらべ、かなり看護師としての自立(臨床とのギャップが起こりにくい方法)を引き出すような方法がとられていた。日本の看護教育もこのように変化していけば、卒後の新しい看護師の、臨床でのギャップは少なくなるのではないかとも感じた。

アメリカで行われていることが、すべて日本より秀でているわけではないが、このように日本が学ぶべきところはたくさんある。多くの文化を融合させることができたアメリカだからこそ、できることも、できたこともある。日本には日本のよいところもある。アメリカという世界中の一箇所の国を経験しただけではあるが、今の日本に言いたいことがある。それは、日本のよいところは大事にして、広い視野で他文化のよいところを受け入れ、自分たちのことを冷静に見直していく必要があるのではないかということだ。

 

東京ベイ浦安市川医療センター
集中ケア認定看護師/米国呼吸療法士

戎 初代

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